新年に思う事
代表取締役社長 大井建史
明けましておめでとうございます。
今年もご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。
年末に少し降った雪も二日から降り続く雨に屋根から落ちた雪以外はすっかり消えてしまいました。今の所滅多にない程の暖冬です。
酒造りの方は順調に進み、四日から兵庫県多可町にある秋田村での契約栽培山田錦特上米による大吟醸の仕込が始まりました。秋田県内最年少杜氏四回目の正念場です。
弊社の原料米は天寿酒米研究会を中心として全てが契約栽培米です。「酒造りは米作りから」の考えから、昭和五十八年に天寿酒米研究会を設立し、最初は矢島の蔵人二人で八十俵からのスタートでした。食糧管理法があり農協に米を出せば高値で売れる時代に、品種を分ける事で天候的な収量の保険としての考え方や、食管法終了後に具体的な売り先を目の前に確保する事の優位を説いて一軒づつ説得した結果、今ではグループとして二千俵を超えて久しくなりました。
私が秋田県酒造協同組合の原料米対策委員長に成ってから7年を超え、その間湯沢地区との県産酒造好適米の契約栽培の品質向上や数量調整と、新品種「酒こまち」の種子の保全・流出防止を図りながら、県外への販売にも努めました。
また、一般酒造米も地域流通米とし全量契約栽培としました。加えて県外ではありますが山田錦の村米制度(地域との契約栽培制度)に団体(酒造組合)として初めて秋田村を実現しました。結果、酒造協同組合経由の原料米はほとんどが契約栽培となっております。
昨年末農大から二名の研修生が来ました。弊社で女子学生を受け入れるのは初めてでしたが、一人は何と私の学生時の卒論実験ペアだった同期の御嬢さんでした。三姉妹の親としては二人の感覚が初々しく時の流れを感じました。伝統産業のそれも長年苦しんで来た中で躍り出すには奇も必要な事ではありますし、色々チャレンジできる技術的な進歩もあります。一世代前と比べると農大醸造学科出身が増え各醸造試験場のご努力もあり、時代の要請からも酒の事を良く知る蔵主が断然増えて来ました(当然のことではありますが)。若い世代が我々の地ならしの後に芽吹き始めました。起きそうで無かった日本酒のブームの気配も出て参りました。その様な今だからこそ真の酒造りを探求しなければなりません。
何事も基本の上に物事は成り立ちますが、何処までその基本を突き詰める事が出来るか…。私にとっての真の酒造りとは何か…。百四十二年の天寿の伝統とは何か…挑戦は続きます。
四造り目を迎えて
杜氏 一関 陽介
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。また日頃よりご愛顧いただいております皆様方にとりまして良い一年になりますよう、お祈り申し上げます。
さて、本年度の新酒はいかがでしたでしょうか?米の品質は年によって異なります。「今年の原料米は溶ける」という情報を基に米の吸水はやや少なめ、しっかり締めて十月末より仕込みを行って参りました。その為、しぼりたての生酒はとても綺麗な仕上がりになったと思っております。今月から春に向けては、夏の生酒や秋のひやおろし等の仕込みも徐々に始まります。
一年間美味しく飲んでいただく酒を造るわけですから、ただ米を「溶かす」「溶かさない」だけで無く、最高の酒になるような原料米の処理方法を出来るだけ早く手中の物とし、その方法をベースとして、商品コンセプトに合わせ、仕込みに応用させる事が重要です。
毎年新酒の状態が見れる今頃までには出来ていなければいけない事なのですが、なかなか難しいものです。
当然良い酒を造る条件は米の質だけではありません。弊社の設備は麹や醪の温度管理も安定して出来る環境が整ってはおりますが、今冬は暖冬なのか矢島もさらっと雪が積もる程度で蔵内温度も例年より高めで推移しているように感じます。そうした自然環境の変化に対応する温度管理も重要です。
また、杜氏四年目の私が一番大事に思う事は、実際に酒造りを行う為に必要な道具・機械・人です。使う物を修理するのも人です。自分達が使う道具を理解する事、共に働くメンバーを思いやる事、これが欠ける事が一番酒に影響するように感じます。酒造りに大切な事は考えれば色々あって尽きないですが、良いと思った事はしっかりと検証し、取り入れる姿勢を忘れず、本年も励んでまいります。
最後に、私を含め蔵人全員が弊社の社是にあります「製品に誇りを・顧客に感謝を」を常に念頭において「酒造りは人作りである」という考え方と「周りの人への感謝の気持ち」を忘れず、酒造りに取り組む事をお約束して、新年の挨拶とさせていただきます。





