迎春
代表取締役社長 七代目 大井永吉
明けましておめでとうございます。皆様健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
創業197年目の年が明けました。私はその歴史の2割を担ってきた事になります。もちろん先代や多くの社員と共に進んでまいりました。
お陰様で昨年は秋田県知事賞首席ダブル受賞やクラマスター古酒の部トップを始め多くの受賞があり、また、2人目の孫が10月に誕生とまことにありがたく、孫たちが生まれて、初めて代をつなぐ事への緊張と執着が有った事に気づきました。私にとって孫は未来と希望そのものなのだと。
一方、秋田は熊騒ぎの先頭を走っておりました。多かった一昨年の駆除数の倍以上の2400頭超えの駆除数となりましたが、我が矢島町はもちろん秋田市の中心部にも何度も現れ、アメリカでも日本旅行は熊が危ないとテロ並みのアナウンスがされているとの事。飲食街や観光地の被害も災害並みとの事です。もちろんお酒の消費量にも影響し、米価の高騰とダブルパンチで、私共以外にもあちこちの酒蔵からうめき声が聞こえてきます。
2000年に発売開始した純米大吟醸鳥海山。20年間4合瓶1500円で販売してまいりましたが、この度のインフレで原価的にたえられず3年前から2回値上げをさせていただきました。そこに今年の米価の高騰は昨年の1俵2000円の値上がりも大変なことなのに、今年はその価格にさらに15000円以上の値上がりで、原料米価格が昨年の倍を超えております。正に激変です。
米価格高騰の情報以来、いかに原価を抑えるかの研究・検討をしてまいりました。値上げ続きで嗜好品としての購買意欲の減退を最も恐れるところですが、この米価の2倍を超える上がり幅では値上げ必至です。その幅をどこまで抑えられるかを必死に考え、瓶のフロスト加工を新酒からは廃止するなど、ぎりぎりの答えを出させてもらっております。
農政の失敗の穴埋めを米税として米消費業者が払っているようなものです。市況で飯米がだぶついて米価が下がっても、酒造り前に契約が終わっておりますので、酒蔵の今期の原料米価格は変わらないのです。
正月早々からのお願いでまことに恐縮ですが、世界遺産になった日本酒ではありますが、酒蔵の苦境を鑑み、元旦からの屠蘇酒・日本酒のおいしい消費にご支援頂けます様、よろしくお願い申し上げます。
今年こそ
杜氏 一関陽介
新年おめでとうございます。文才が無い私ですが、本年もどうぞお付き合いください。
この文章を書く前に1年前の文章を読み返したのですが、全国新酒鑑評会(金賞)・秋田県清酒品評会(吟醸酒の部・県産米の部知事賞)・東北清酒鑑評会(吟醸酒の部・純米酒の部優等賞)この5冠受賞を昨年の目標に掲げていたようです。しかしながら秋の東北清酒鑑評会では残念ながら2部門共に入賞ならず。5冠とはなりませんでしたが、前回号でお伝えしたように秋田県清酒品評会では2部門両方で首席を受賞することができ、目標とは少し違う形ですが、最高の結果が出たと思います。
また、フランスで開催されたクラマスターの古酒部門で平成9年醸造の純米吟醸が審査員賞(最優秀賞)を受賞したのをはじめとして、その他様々な国際的コンテストでも賞をいただくことができましたので、今年も好成績を継続できるように頑張りたいと思います。
さて、昨年末に会社ОBの方々との酒席がありました。出席された方のほとんどが、私が入社してから杜氏に就任するまでの間、酒造りに留まらずいろんな事を教えてくださった先輩方です。先程、平成9年の純米吟醸が受賞した話をしましたが、その酒造りに携わった村上・佐藤前杜氏もいらっしゃいました。特に当時杜氏であった村上さんは今回の受賞を非常に喜んでおられ、町内の集まりでそのお酒を振舞ったそうです。「その酒はああだった、こうだった」といろいろ私にもお話を聞かせてくださいましたが、良く覚えていらっしゃるなと感銘を受けました。そのお酒が蔵にあることは私も入社当時から分かっていましたが、造り手の想いというのは、その時携わった方にしか分からないものだと思うので、この受賞があったからこそ話を聞くことができたのだと思い非常に嬉しかったです。そしてなにより搾ってから28年の時を経て、遠くフランスの地で評価されたことに、私はロマンを感じ、今自分が造るお酒にもいつかそんな時が来るのかも・・・とつい思ってしまいます。
ここまで昨年の話ばかりしてしまいましたが、肝心の今年の酒造りの現況をお話しします。12月中旬まで暖かい日が続き、今年の冬は暖かいのかな?と思っていましたが、年末に近づいてやっと雪が積もる日も出始め、冬らしさを感じられるようになりました。仕込みの進捗状況については今期予定している量の3割程まで終了し、鑑評会出品酒の仕込みも既に始まっています。中盤の重要局面ではありますが、蔵人メンバー全員が緊張感のある仕事ができているように思います。令和7年産の原料米については、お酒の出来高や粕歩合を昨年度と比較すると、溶け具合はやや良いようで、できあがったお酒は味薄感もなく、上々な仕上がりになっていると思います。
これから春に向けても、まだまだ新酒が登場します。精米から瓶詰めまで製造メンバー一丸となり美味い酒を目指しますので是非楽しみにしていただければと思います。
今年の目標は、「昨年果たせなかったことを今年こそ実現する」にしたいと思いますが、まずは春まで蔵人メンバー全員が健康で無事に皆造を迎えられるよう頑張りたいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。





