孫誕生
代表取締役社長 七代目 大井永吉
二月十六日に初孫が誕生いたしました。大井家では五十三年ぶりの男の子です。初孫が成人を迎える頃は私は八十三歳かなどと思いながらも、聞いてはおりましたが孫とは可愛いものだとつくづく思います。家内もおばあちゃんアドレナリンが出っぱなしで、出張や宴会が有ると会わせてもらえなくオロオロする新おじいちゃんです。
今年の冬はニュースになる様な大雪もあったようですが、地元では私の六十三年の記憶にない雪の少ない冬でした。何しろ暖冬で雪が少ないと言っても、本荘矢島街道の田んぼに一月二月に土が見える事はあまり無いのです。しかし、この頃は一部に土が見えて「え!」と驚いていました。それが今年は一月からずっと広範囲に土が出ていたのです。
それでも会社周りの雪寄せは毎日のようにありましたが、大きな気候変動に不安を覚えてしまいます。
コロナ禍も新型ウィルスが次々と発生いたしますが、弱毒化して来たと言われております。後遺症の話も多々あり油断をしてはいけないとは思うのですが、社会・経済活動は活発化しており、弊社でも三年ぶりに蔵開放イベントを開催させて頂きました。
全く同じ形では密となりますので、コロナ対策を考え蔵案内は事前予約制とし、蔵の中に二十名×二グループ=四十名以上にならない様にしました。所要時間はトータル一時間で案内内容を充実させ唎酒も各商品の説明をしっかり聞いて頂き、お客様の満足度を上げる事を目標と致しました。また、ご好評の「朝しぼり」を含む限定酒は種類を増やし予約なしでもお買い求め頂けるフリーとし、購入時の密を防ぐため売り場の人数制限をさせて頂きましたが、待ち時間が発生しました事お詫び申し上げます。
その他にも社長・常務・杜氏がご案内するプレミアムコース等、初めての試みばかりで不行き届きの点が多々あったと思いますが、今後、コロナ以前と全く同じ形に戻すのは難しいだろうと考えています。これからも世情に合わせた企画を考えて参りますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
再開された活動の第二弾として、海外への営業活動は四年ぶりとなる、香港へ行って参りました。六十三歳の四年のブランクは残念ながら大きなもので、現地で動き始めて不安になる記憶の曖昧なものが多々あり参りました。入国時に必要とされた健康チェックは無かったのですが、永吉名にした新パスポートが引っ掛かり襲名の事かと思いきや、理由は入国管理官側のコンピュータートラブルとの説明でした。一時間近く待たされトランクの引き取りが心配になりましたが係官は「ОK、ОK」だけで、急いでいくと止まったコンベアーの側にポツンと私のトランクが…ドキッとしたりホッとしたりと波乱の幕開けとなりました。
何で苦労するか判りませんね。ポケトークさまさまです(笑)その後もエアポートエクスプレスや地下鉄・タクシーに乗るたびに頭の緩んだネジが巻かれる感が有りました。
お取引頂いているシティー・スーパー様の活況や営業計画に、世界は大きく激しく動いている事に触れさせて頂き、日本もコロナ渦とはいえフリーズしている場合ではないと実感しました。
酒蔵開放
杜氏 一関 陽介
二月二十五日、三年振りに酒蔵開放を開催することが出来ました。しかしながら、例年二千人を超えるお客様を蔵内にお迎えしていたコロナ前と同様での開催は難しいという判断で、蔵内への入場は事前予約有料制をとらせていただきました。お客様の負担が増える形になってしまうことや、コロナ感染対策による今までと違った形式での利き酒・お酒の販売方法への変更があり、少し不安もありましたが、ご来場いただきました皆様には、ご理解いただいたうえに、終日ほぼ満員でのご案内ができましたこと、お礼申し上げます。
私が担当した蔵案内でも大きな変更がありました。わざわざお越しくださったお客様に、より天寿について知ってもらいたいという想いから、二十名×三回の六十名限定ながら通常の蔵見学コースに加え、お酒とおつまみを楽しみながら酒造りについての講話をお聴きいただき、プレミアムプランと名付け二時間の酒蔵見学をしていただきました。初めての試みでしたので集客に苦戦することも想定しておりましたが、募集開始早々に完売となってしまい、ご来場を諦められた方、コース変更を余儀なくされた方には大変申し訳なく思っております。同時に三年振りの開催でも酒蔵開放に注目してくださっていた方が多くいらっしゃったことは非常に嬉しく、身の引き締まる思いがいたしました。当日までお客様にとって「プレミアム」とは何か?私もいろいろ悩みましたが、会社の取り組み・目指す酒へのこだわり・杜氏十年で今思うこと等々・・・丁寧にお話させていただきました。
個人的に、「酒造り職人は多くを語らず、気候の変化を肌で感じ、ひたすらに原料と向き合い、出来上がった酒の品質で勝負する者」で良いと私は思っていますが、今回のような講話や講演依頼を受ける事で逆に相手の意見を聞くことができたり、自分一人では知り得なかった事を教わる機会になっていると気付きました。自分の仕事を実際に言葉で人に伝える事は容易ではありませんが、その事が自身のレベルアップにつながっているのであれば、今後も機会があれば続けていきたいと思います。
さて、触れるのが遅くなりましたが、天寿の酒蔵開放の目玉といえば「朝しぼり」ではないでしょうか。当日の朝方に搾って瓶詰めし、その日の内にお客様に届く、まさに「フレッ酒」の極み。今年の酒蔵開放でも販売いたしました。お酒の購入は事前予約なしでも可能でしたので、沢山のお客様にご購入いただき本当にありがとうございました。搾る日が決まっている杜氏泣かせの酒でもありますが、毎年この酒の為にわざわざ蔵へいらっしゃる、待っている人がいるお酒。なんとか美味しいものにしたいと社員一丸頑張りました。美味しかったという声がチラッと聞こえてきており、嬉しい限りです。来年もご期待頂ければと思います。
今年の酒造りもいよいよ終盤。皆造(全工程収終了)はゴールデンウィークになりそうですが、残り一か月少々。無事故・蔵人全員が健康で、「地元で出来る最高の酒を目指す」という目標にブレることなく最後まで頑張ります。これから夏に向けて生酒の発売も控えておりますので是非宜しくお願い致します。