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蔵元通信

日頃お世話になっている皆様に、私ども天寿酒造が何を考え・守り・求め・挑戦しているのか、その思いをお伝えしご理解いただくために、「蔵元通信」を発行しています。
お酒はどのような狙いで造られたものなのか、季節や旬の食べ物に合うお酒、また飲み方、そして鳥海山の登山口であるこの矢島町の様子などをお届けいたします。

お酒の個性
2002-05-01

お酒の個性

代表取締役社長 大井建史

128回目の酒造りが終わりました。25日には仕事を全て終えた蔵人たちが家路につきます。 今回の麹造りの取り組みは、大吟醸を始め純米等も味の幅やふくらみが付き、かなり満足の行くものに成りました。

この所、地酒としての酒質の個性化が問われます。どんなお酒かと問われますと私共では「鳥海山の伏流水で超軟水の仕込水を使用し、自慢の天寿酒米研究会産の美山錦を原料米として、蔵人の伝統の匠と情熱で醸しあげた心やすらぐお酒です。」とお答えしますが、どうもこれでは答えにならないようです。もちろん一つひとつの酒の味の説明と違うことは解りますが、その蔵の酒の個性とは何を指しているのでしょう?特別に辛い・甘い・酸が多い・香りが強い・自社酵母使用(私はこれが良くわからないのですが、どうもお酒が良く出来た年の協会酵母を自社保存したものが多いようです)が個性化と考えますか?確かに協会酵母を使用し醸造試験場の指導どおりの酒造りを行い、似たような酒に成っているとのご指摘は解らなくも有りません。しかし、この頃の特定名称酒(吟醸・純米・本醸造等)は大変な種類が有りますが、前記のような先入観でお酒を味わっていないでしょうか?魚でも絞めてからの時間の経過による味の違いを愛でる日本人です。その日本人が千年以上飲み続け、向上させてきた酒造りなのです。私としては、味や香りの極端な違いではなく、その酒蔵の持ち味こそ個性と捉えて頂ければと考えます。

近の雑誌に載っているお酒は、記者が広く酒蔵を取材しない為、かなり偏りを感じるのは私だけではないと思います。酒蔵の全てが良いとは申しませんが、日本にはまだまだ沢山のがんばっている酒蔵があるのです。コクとキレを大事に吟醸してきたこの国の「国酒」をお楽しみ頂きながら、時々そんな思いも感じて頂けたらと思います。

言葉にするのが難しく誤解されるのも怖いのですが、天寿は十種類並べて呑み比べると目立たないが、一対一で比べると勝ち残る酒だと言われた事があります。一杯目のインパクトより、飲むほどに旨味が増し、飲み飽きしない天寿らしい安らぐお酒を目指したいと私は思っています。

今年も5月3日に第三回「やしま駅の市・酒蔵の市」のイベントを行います。弊社の目玉は「雪室氷温熟成純米生酒」ですが、今年は雪消えが異様に早く大変苦労しております。すでに大型ダンプで6台の雪を鳥海山から運びました。なんとかイベントまで持ってくれれば良いのですが・・・ 素人仲間でのイベントですが、皆様に喜んでいただこうという気持ちいっぱいで準備に取り組んでおります。鳥海山も新緑の美しい季節を迎えております。連休を利用して、御家族皆様で是非お出かけ下さい。

蔵のページ

もろみ師の重圧

精米師(こめや)、釜師(かまや)、麹師(こうじや)、酒母師(もとや)それぞれが、その技を結集し仕上げた、蒸し米、麹、酒母はもろみへ引き継がれます。 これらを原料に仕込みを行い、適切に管理し、長い発酵期間を経て熟成したもろみを搾って(こして)初めて清酒が生まれます。この酒造りの本体であるもろみ管理を担っているのがもろみ師です。

清酒もろみには数々の特徴がありますが、最大の特徴が、仕込みタンクの中で米デンプンが麹の力によって分解され糖分に変わる糖化と、その糖分を酵母が利用してアルコールや香りを造り出す発酵が同時に行われていることです。

この発酵型式を並行複発酵といい、世界で唯一、日本の清酒醸造だけに確立された独自方法です。

それ故、酒造りは糖化と発酵のバランスが重要で、糖化の変化と発酵をつかさどる酵母の健康状態を見極める、細やかな観察と管理が全てを左右します。

もろみ師は、朝昼晩と、定期的に検温し、各もろみの僅かな温度や状貌の変化から健康状態を推察し、日々行われる成分検査で裏付けを取りながら温度調整を進めて行きます。雪が少ない初冬や春先は夜中に急激な天候の変化がある場合があり、もろみ達が冷え込んで風邪をひいたり、熱を出したりはしないかと、心配は絶えません。そんな時は真夜中であっても様子を見に行く事は珍しくなく、その心配りは、まるで子を思う親のようです。

良いもろみとは、目的とする酒の品質を持つものであり、又、この特性を搾りによって損なうことなく、そのまま清酒へと移行させることがポイントとなります。それ故、最終的に良いもろみ(蒸し米、麹、酒母も同様です)が出来なければ、決して良い酒は出来ません。造りの期間中、もろみ師は他工程の責任者と共にこの重圧を背負っています。

製造課 佐藤俊二

蔵人の紹介

もろみ師 土田邦夫(つちだくにお)

昭和25年生まれ 昭和53年蔵入り

槽師を兼任しながら一貫してもろみ担当。平成7年もろみ主任に就任

矢島町出身 酒造技能士一級

天寿酒米研究会会員

天寿一の酒豪。酒を共にした者で彼の乱れた姿を見た者はいない。本人曰く、「色々な酒を試している内に強くなった。一種の職業病だ」と嘯く。自ら育てる美山錦は毎年最高品質を保つ。

もろみ師のコメント

もろみは一本一本個性があって同じ物は無い。一定の管理だけではうまくいかないので、常に初心者のつもりで見守っている。

聞こえますか? 酒蔵の思い
2002-03-01

聞こえますか? 酒蔵の思い

代表取締役社長 大井建史

今年の甑こしき倒し(蒸米の終了=仕込みの終了)は三月十四日です。お蔭様でここまで様々な新しい取り組みをしながらも無事に過ごす事が出来ました。今年の最重点の取り組みは、麹の造り方を原点に帰ってやり直した事です。結果は上々で、酵素力価も予想以上で良い酒となり、呑み切りの結果を楽しみにしているところです。更に、新しい仕込みの純米と本醸造を仕上げましたので、どうぞご期待下さい。

この造り期間中にも、同業者・流通業・飲食業・一般と沢山の方々が酒蔵の見学に来られました。私共も天寿の酒造りをご理解頂く為、心を込めて説明させて頂きました。その中で気になりましたのが、ベルトコンベアーやホースを見て「随分機械化されてますね」とおっしゃる一般の方が、意外に多かった事です。良く聞いてみますと「手造りの酒屋」のイメージは藍染めの半天と前掛けをした蔵人が、甑から蒸米を掘り出し、その蒸米を木桶に入れ、肩に担いで走って運ばなければならない様です。大手のメーカーがイメージ戦略でお使いの映像を、小さい酒蔵の手造りイメージにされるのは尤もの事とは思いますが、すべて自動化され、プログラムとセンサーにまかせきりで醸造し、搾られるのでは無いのです。機械のセンサー任せになったら造り酒屋はそれで終わりだと私は思います。今、手造りの最も重要な事は職人が目で見、香りを嗅ぎ、手で触り、口で味わう等の五感(センサー)を十分に働かせる事なのです。

それが肉体労働で疲れ果て、一本一本の酒母やもろみの状態を見る事がおろそかになる様ではとんでもありませんし、蔵人の労働環境としても良くありません(毎日2トンの蒸米を掘ったり、その蒸米を30キロ位に小分けにして肩に担いで何回も運ぶ事が貴方の毎日の仕事だとしたらどうですか?物を上げたり下げたり運んだりの肉体労働は、出来るだけ機械化して行く努力をするのも蔵元の仕事だと私は考えております。)

町の河川工事の為に弊社には土蔵が残っておらず、古さはありませんが、蔵にご訪問頂いた際に少し耳を澄ませてくだされば、天寿の酒蔵の「思い」をお伝え出来るものと思います。

そんな私共の「思い」をお伝えし、皆様に天寿の酒蔵にさらに親しみを感じて頂きたく、今年も二月九日に酒蔵開放をさせて頂きました。お蔭様で一,三〇〇名を超えるお客様をお迎えする事が出来ました。ご参加頂きました皆様に心から御礼申し上げます。又、今年は更に多くのボランティアの皆様にご協力頂きました。本当にありがとうございました。

しかし、反省点が多々ありました。事前にお申し込み頂いたのは三〇〇名弱で人数の予測が付けられず、更にお昼直前にお客様が集中した為、蔵内が満員状態になり、ご案内した食べ物も昨年より随分増やしましたがすべて品切れしてしまいました。楽しみにして来て頂いたお客様には、誠に申し訳なくお詫び申し上げます。冬場の事で外も使えず、限られたスペースと人数での運営ですので、今後の解決策に苦慮しているところでございます。社員一同、皆様からのアドバイスを切望しております。是非ご意見をお寄せ下さい。

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精米師(こめや)から釜師(かまや)へ

精米によって磨かれた白米は通常2週間程、紙袋に入れたまま白米置き場で静置されます。これは、精米工程で摩擦熱により米粒の品温が上昇し水分が蒸散され、表層部と内部に水分含量のムラが生じる為、品温を下げ、米粒内の水分が均衡するまで待つのが目的です。(この事を白米の枯らしと呼んでいます)枯らしを行わずに水洗いをすると表層側が過吸水し、白米が割れてしまい軟弱な蒸し米になってしまいます。これは通常我々が食する飯米にもあてはまります。巷では新米、擦きたてのお米が美味しいとされていますが、軟らかすぎて炊き方が難しいと思った経験はありませんか?

そして、適度に枯らした白米が精米師から釜師へと引き継がれます。

釜場は白米を酒造りに適した蒸し米に仕上げる場所であり、蔵の仕事の中心です。ここでの責任者が釜師(かまや)です。

酒造りの極意として、「一、麹、二、もと(酒母)三、造り」という言葉が有名ですが、高名な杜氏さん達が揃って口にする極意は「一、蒸し、二、蒸し、三、蒸し」という言葉です。前述の極意を達成するためには何を於いても良い蒸し米を得ることが絶対条件である事を指しています。

釜師は最良の蒸し米を得る為、手早く米粒に付着した糠分を洗い取り、どの位白米に吸水させるかを推し量ります。酒造好適米程、又、高度に精米される程、吸水し易く、浸漬時間が短縮されます。特に大吟醸用の白米を洗米するときは秒単位での処理となります。そして、仕込一本の原料米は非常に高価なので、毎回が失敗の出来ない真剣勝負となるのです。

こうして適度に吸水させた白米を蒸し上げ、出来映えを手で握り、或いは指で押し伸ばしながら、蒸し米の弾力や米粒が均一に広がり粒が残らないように確認し、わずかな差違を見きわめ、翌日の蒸し米へとフィードバックされるのです。

製造課 佐藤俊二

蔵人の紹介

(かまや)

釜師 佐藤 直千代(さとう なおちよ)

昭和22年生 昭和53年入蔵以来一貫して釜を担当。掘り出した蒸し米で「ヒネリモチ」を造り、出来具合を確かめ、微妙な硬軟を見分ける。

酒造技能士一級 矢島町

入蔵前、航空自衛隊に所属。特技の卓球は航空自衛隊千歳大会で優勝する程の腕前。蔵での機敏な動作はこの時に培われたと思われる。出身は隣町の由利町であるが柔和な性格を見初められ佐藤家に婿入り。この事が天寿酒造入社のきっかけになる。

釜師のコメント

酒造りは一つひとつの行程が最高の状態で次行程へと渡す事が出来るようにする事が重要だ。常に次の人が最善を尽くせる様に思いやる酒造りはチームワークに尽きる。

酒蔵の心意気
2002-01-01

酒蔵の心意気

代表取締役社長 大井建史

あけましておめでとうございます。

新体制となった弊社もお蔭様で三年目を迎えました。

この間の社会情勢の変化は大変激しく、それに伴い各業界や会社も、生き残りをかけてそのスピードを追い越そうと必死です。

弊社も、それに対応すべくこの天寿蔵元通信の発行や、様々なイベントを行う事で、私どもの「思い」をご理解頂きたいと努力して参りました。

また、昨年は更なる品質向上のため、壜貯蔵用冷蔵倉庫(一・八リットル×二万本)を完成させ、東京農大の中田久保教授による、撫子や日々草から分離した新酵母での醸造にも取り組み、「雪ごよみ」「天寿純米吟醸」「清澄辛口鳥海山」生貯蔵酒等の新製品を発売いたしました。

今年は、秋田県酒造組合で十年以上の年月をかけて開発し、山田錦以上の酒造好適米にと期待されている「秋田酒こまち」を県内で一番早く試験醸造しており、1月上旬には上槽致します。また、麹造りもさらに研究を重ね、一味向上した酒質になると期待しております。 吟醸ばかりでなく、純米や本醸造でも新商品をご提案させて頂く予定です。

私は、本来経済活動は挑戦する事だと思います。弊社の目指すところは「世界に通用する銘醸蔵」になる事。「お客様に感動を持って味わって頂けるお酒」を造る事。

現在一二八年目の酒造り真っ盛りの「天寿」は、その伝統を守りながらも、目標に向かって益々挑戦するべく、社員一丸となって進んで参ります。

本年もご愛顧の程、よろしくお願い致します。

「パッケージデザイン賞」受賞

おかげ様で、天寿の新商品、完全無農薬米仕込「純吟 天寿」が、第21回秋田県特産品開発コンクールにて「発明協会秋田県支部長賞」と「パッケージデザイン賞」を受賞致しました。

鳥海山の麓、生活廃水の一切入り込まない南向きの田んぼで、弊社自慢の「天寿酒米研究会」が、アイガモ無農薬農法で丹精こめて育てた、酒造好適米「美山錦」を一〇〇%使用いたしました。

箱やラベルに古紙と大豆インクを使用したエコ商品でもあります。 是非ご賞味ください!

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秋、田んぼから収穫された原料米は乾燥、選別され玄米の形で天寿の精米所に入ってきます。

天寿では美山錦栽培(酒米研究会)をはじめとする米作りも酒造りと位置づけていますが、文字通りの酒造りは精米から始まります。精米とは玄米の表面を、削り取って白米にする作業です。

玄米の表層部や胚芽には微生物の増殖や発酵を促進し過ぎる灰分やビタミン類が多く含まれています。又、香りや味、色択を悪くするタンパク質や脂肪分も多く、これらを取り除く為に精米します。

通常、我々が食する飯米は玄米重量の7%8%程度を削る軽微な精米ですが、酒造りに用いる白米はさらに削ります。これ以降は米の組織が固く脆い部分にさしかかるので割れや砕けをおこさない様に丁寧な操作が要求され、専用の精米機と時間が必要です。天寿の酒造りで使用される白米は目的とする酒種によって30%65%を削り連続で最大6昼夜もかかります。それ故、酒造りで精米する事を「米を磨く」とも呼びます。又、残った白米の重量割合を精米歩合と呼び、精米歩合が低いほど高度に精米された白米となり、米でんぷんの割合が高まります。

一般に精米歩合75%程度までは、精米が進むにしたがいタンパク質、脂肪、ビタミン等は少なくなっていきますが、これ以降はそれほど変化が無くなるので米の素質が問われる様になります。天寿が原料米の栽培にこだわる理由がここに有ります。田んぼでの育て方次第で基本となる酒質が左右されると言っても過言ではありません。

もう一つの鍵は米の品種です。最良の栽培方法を行ったとしても根本的な品種特性に勝るものはありません。この為、全国の鑑評会に出品される吟醸酒の大半が山田錦という品種を採用しているのが現状です。これは醸造特製の良さと何よりも仕上がった吟醸酒の香味の点でこれまで山田錦を越える米が無かったという事です。

そんな中、米どころ秋田の威信を懸けて長年開発を続け、今年本格的に試験醸造が行われる「秋田酒こまち」が開発されました。

その開発段階で「西の横綱が山田錦ならば東の横綱は秋田酒こまちである」と専門家をして言わしめ、数ある試験品種の中で初めて山田錦を越える米として期待されています。

天寿ではこの米を使用した吟醸酒仕込みを県内一番乗りで行いました。この酒蔵通信が届く頃、新しいお酒が生まれます。ご期待下さい。

製造課 佐藤俊二

蔵人の紹介

(こめや)

精米師 佐藤栄一(さとうえいいち)

酒造技能士 矢島町出身

昭和30年生 昭和51年入蔵 製麹せいきく、酒母しゅぼ、上槽じょうそう助手の頃から、吟醸酒用の精米時期になると必ず杜氏の指名を受け、精米を担当していた。

平成2年精米担当、平成11年、前任木村から精米主任を引き継ぐ。

精米師のコメント

原料米の受け入れ時点から米の目利きは始まっている。平成15年から農産物検査法に基づく玄米検査が完全民営化されることから、受け入れ側も確かな検査基準を持つことが必要となる。

今年は新しい米「秋田酒こまち」の精米も県内一番乗りということもあり、泊まり込みで杜氏の望む通りの白米に仕上げた。品質を追求するこの仕事に誇りを持っている。

128回目の酒造りが始まりました
2001-11-01

128回目の酒造りが始まりました

代表取締役社長 大井建史

秋の味覚本番の季節になりました。日本酒の美味しい季節です。秋田でも、稲刈りが終わり新米が食べられるようになり、秋の恵みによる様々な野菜や果物、そして山の幸・海の幸。あふれんばかりです。

世間のニュースは、暗い話ばかりで心が沈みがちですが、くよくよしても始まらない。こんなときは家族や友達みんなと一緒に、美味しいものを楽しみましょう。

お酒も、暑い夏を越えしっかりと熟成されて、今が飲み頃になりました。ピカピカの秋刀魚を焼いて、なめこや舞茸の酒蒸しにおろしをのせて、純米の燗酒を一杯。心やすらぐ瞬間です。

お酒をおいしく飲むには?とよく聞かれます。ポイントをまとめてお話させて頂きます。

●品質管理の良いお店で

日の当たる所にお酒を置いている様なお店は、お酒の知識が無いところです。常温でも三ヶ月位は品質変化が小さいですし、冷蔵庫に入っているところはそれ以上でも大丈夫です。日本酒は生酒を除いて、開栓せずに冷暗所にある限り、熟成は進みますが悪くはなりません。(お好みの酒質に成るかどうかは別ですが)

●飲む時の温度は

たとえば、大吟醸を飲むときに温度で味比べをされた事はありますか?10度・15度・20度と味わいがぜんぜん異なる事に気が付きます。一つのお酒で三倍楽しむ事が出来ます。お燗も同じ。人肌の40度・50度・60度は熱すぎませんか?外での熱燗の温度に慣らされてはいませんか?昔はお燗番として人ひとりを専門に置いたほど重要な事なのです。

●おいしく飲む為の酒器

昨年の七月号で、ワイングラスのリーデル社で大吟醸グラスを造った話をさせていただきましたが、吟醸などの香りのあるものは、ワイングラスが結構合います。(酸の少ない白ワイン用が良い)その他のお酒も、ぐい呑み型・朝顔型等色々ありますが、値段や素材よりも形と薄さが大きく影響するのです。味にうるさい人に薄い杯と厚い杯に同じお酒を入れて、いたずらしてみて下さい。必ず「薄いほうが断然美味しい」と言うはずです。

●吟醸・純米は燗してはいけない?

そんな事はありません。確かに香りの高い吟醸は燗には向きませんが、香りの少ない古酒系のものはぬる燗の良く合う物があります。純米・本醸造はお燗の合わないものの方が少ないのです。その発見が美味しさと楽しさをひろげてくれます。

天寿酒米研究会の米の出来は順調でした。(無農薬の10a当たりの収量は5.5俵と悪かったが)10月22日には蔵人もそろい、眠っていた蔵に活気が戻りました。今年も張り切って酒造りに励みます。12月の中旬にはしぼりたて生酒も出荷出来る予定です。ご期待ください。

蔵のページ

10月11日、蔵に新米の美山錦が入庫しました。いよいよ今年の酒造りが始まります。

今年の美山錦の作柄は上々です。極端な干ばつ、低温等の変動要因がありませんでしたし、台風の影響も受けませんでした。(前号でのお祈りが通じた為?)只、全般的に気温が高めに推移した為か、収穫期が平年より1週間程早まった感があります。「地球温暖化」と云う言葉が思い浮かびますが、自然を相手にしているだけに説得力があります。

原料米が順調であるとつい油断をしがちですが、この様な年ほど身を引き締めながら酒造りに向かわなければなりません。何故ならば、酒造りの技そのものが酒質に現れる年となるからです。とりわけ昨年以上の酒質を目指す為、課題は山積となります。例えば、香り高く華やかな酒をより澄んだ形にするには?。丸くなめらかな質を求める酒に、よりふくらみを持たせるには?。又その両方を重ね持つ酒には、さらに後味の余韻を付加する為にはどうするのか?。これら思い当たる点に一つずつ工夫を加え、向上を目指していくのです。

天寿では「酒造りは米作りから」を理念として酒造りを行っています。私も他人まかせの米作りではなく、自ら米作りに関わって「天寿酒米研究会」の一員となっています。栽培過程が明らかな良質原料米の安定供給が酒質向上の大前提であると考えます。

そして大切なことは、これら私共の行動をお客様へお伝えし、共感される内容でなければならないと言うことです。その為一年を通じて酒蔵見学を受け入れています。冬は酒造りを、夏は酒蔵と田んぼとをです。

今年の秋、田んぼにお客様がお見えになりました。歓声をあげながらの稲刈りを通じて、手にした稲穂の一粒ひとつぶから天寿の酒が生まれることを体験していただきました。※写真上

今年はこの米を使用して仕込むものを含め、109本の仕込みを行います。

その1本1本に工夫と情熱を込めて醸します。新酒の仕上がりを楽しみにお待ち下さい。

製造課係長 佐藤俊二

蔵人の紹介

頭(かしら)高橋重美(たかはししげみ)

昭和19年生 昭和38年入蔵以来麹造りを専任。麹の品質に徹底的にこだわる典型的職人肌。既成概念に囚れず、常に製麹方法の向上を目指す。酒造技能士一級 山内村出身。

疑問に思った事は納得するまで没頭する。以前、機械からの軽微な感電を経験し電気回路に興味を持った。この時以来電気トラブルにはテスターを片手に原因を探し出す特技を持つ。自作で麹品温監視機まで作製する。息子さんの名は「幸司」(こうじ)。こだわりの人である。

頭のコメント

新しい手法は取り入れながらも、伝統のある天寿の味を変えることなく酒造りを続けていきたい。

挑戦する企業を目指して
2001-09-01

挑戦する企業を目指して

代表取締役社長 大井建史

先日、酒造組合を通じて、今流行の小泉純一郎氏揮毫の『国酒』という、色紙が届きました。実は歴代の首相がお書きになり、私共に届くようになっているようです。一説にはこれは誤字で正しくは「酷酒」と書くと言う説も有りますが…

清酒の販売量は25年以上減少し続けていますが、特に、ワインブーム・焼酎ブーム・スーパードライ・発泡酒と影響を受け、この56年の減少には大変厳しいものが有ります。もちろんグローバル化により、世界中のアルコール飲料が益々入って来ている訳ですが、私達も生き残りをかけて、日本の食文化の一翼を担うものとして、誇りを持って努力しております。しかし、国産アルコール飲料で、輸入原料を使用していないのは日本酒だけだと言う事はご存知ですか。しかも原料米価格は国際価格の810倍で世界一高価なのです。又、どの国でもその国固有の酒、所謂「国酒」(イギリスのスコッチウイスキーやフランスのワイン等)は、その国では酒税が一番安いのですが、日本の場合何故かワインの方が安いのです。おまけに消費税がありますので、米税・酒税・消費税のトリプルタックスだと思ってしまいます。(昔サッチャーがスコッチの売り込みをした時は、日本のウイスキーの税が下がり、焼酎の税が上がったのもその影響だとご存知ですか。何故かついでに日本酒の税も上げられましたが)又、「国酒」と一国の首相が言っていながら、国賓を迎えての晩餐会になると、ワインを使うのはどうしてでしょう。ワイン購入には国家予算が随分使われる様ですが、外務省は昔から首相の言う事を聞かなかったのでしょうか・・・。

我々は自由競争と言われながら原料高のハンデを背負い、保護されていると言われながら税は高く、消費量激減の中で必死にがんばっているのに、テポドンを発射した北朝鮮にポンと差上げた米の代金は、清酒業界の一年分の酒税に匹敵するものでありました。全く気前の良いお人もいたものだ。

挑戦します。米からこだわって作って行きます。一つひとつを見詰め直し、この地で出来る最高を目指します。蔵開放・やしま駅の市 酒蔵の市・水源探索・天寿を楽しむ会等皆様に楽しんで頂く為にイベントを致します。何を目指しているのかご理解いただき、親しみを持って頂く為に酒蔵通信を出し続けます。そして何よりも、ご愛飲頂いている皆様に誇りを持ってお勧めでき「美味しい!!」と言って頂く事を最大の目標とし、力の限り挑戦し続けます。

蔵のページ

田圃・収穫の秋に向けて

お盆前の8月上旬は、一面緑に被われた田圃が出穂により劇的に変化する時期です。

田植え後、すくすくと伸びた美山錦の稲は十分に分けつ(茎が増えること)し、稲株としての姿を呈して来ています。その茎の一つひとつを良く観察すると、丸々と太った中に幼穂が育っています。満を持していよいよ出穂です。この時、必要十分な水を与えることが出来るか否かが、お米作りのひとつのポイントでもあります。

今年は各地で雨が少なく、一部で取水制限も話題に上りましたが、矢島町は天然のダム、町のシンボルである鳥海山に抱かれているため、水不足の心配はありません。今なお、中腹には万年雪を抱え佇んでいます。

鳥海山の豊かな自然の恵みは、時として意外な一面も見せます。

無農薬田のフェンスの中で一生懸命泳ぎ回るアイガモ達に、今年は異変が起きました。何者かがフェンスを破り侵入し、アイガモ達の一部が餌食にされました。それも一度や二度ではありません。フェンスが破壊される度に補強し、最後には有刺鉄線まで張り巡らせ、彼らを守る努力をしました。

犯人は野生の動物です。水を恐れず、網をくぐり抜ける事ができるキツネの仕業でした。

出そろった稲穂が実り、頭を垂れ無事収穫される事を信じ、「台風よ、来ないでくれ!」と願うのは私だけでは無いでしょう。

製造課 佐藤俊二

蔵人の紹介

杜氏 村上嘉夫(むらかみよしお)

昭和19年生 平成3年杜氏就任以来、全国新酒鑑評会 金賞3回、銀賞5回を受賞。秋田流・花酵母AK‐1の特徴を十分に活かした吟醸酒造りを実践。

昭和40年全国青年会相撲大会個人二位の成績を修めたスポーツマン。力強く強靱な肉体と同じく酒も相当に強い・・・。料理にも探求心が強く、特製の馬肉料理は天寿の隠れた名物である。最近はIT革命の影響を受け?、パソコン操作に興味を持つ現代的杜氏。

杜氏のコメント

酒造りは子供を育てる事と似ている。素直に醸したもろみが必ずしも狙い通りの酒になるとは限らない。思い通りにはなかなか育たないものだ。だからこそ奥深さをしみじみ感じている。

さけの話
2001-07-01

さけの話

代表取締役社長 大井建史

酒の話と申しましても、造り方とか味わいの話ではありません。なぜ「さけ」と日本では言うのかという話です。ご存知の方がいらしたらごめんなさい。私自身はつい先日聞いたばかりの話です。

古事記や日本書紀より昔、日本に漢字が伝わる前の事になります。それ以前は日本には文字がありませんでした。慶応大学人文学の西岡先生のお話ですが、日本人はモンゴル・中国・ポリネシア・アイヌ等北方民族・アメリカインディアン等色々な人種の雑種だとのこと。調べるとそれぞれの民族の特徴が出ており、神話にも各地と同じような話があるようです。

ところで、歴史上人間が集まると、すぐ神様が出来るようです。日本でも、仏教や漢字伝来前の神を「さがみ」または「さのかみ」と言っていたそうです。今でも新潟から山形・秋田では山の神を実際にその様に言っているとの事? さの神=しゃの神=さい(才)の神。ハハナルホド。

このように、古代語?に類する言葉に漢字を当てていますので、ひらがなで考えるとかえって解かり易くなります。ここまでで思いつくことはありませんでしたか?相模の国は神の国と言う意味になるようです(さつま・とさ)。さか(坂)とは神のおりてくるところ。さかいは神と人間のいる所を分ける境。さいわい=さに祝ってもらう・さち=さの神に千も集まってほしい・さつき=さの神に降りてほしい時・さなぶり=さぬぶり=さのぼり(神の帰るとき)・さおとめがさなえを植える。その他にも、さばき・さかずき・さかき・さとり・さかえる・さまよう・さみだれ等色々ありました。さらに、さくらはさの居るくら=神の座と言うところだそうで桜の花が咲くのを見てお酒を飲みたくなるのは日本人だけ(日本人の証拠?)。それはさけと言うのは神(さ)への一番のおみやげ(け)と言う意味だからとのことでした。へ~

全国新酒品評会で入賞

去る五月三十日に全国新酒品評会の一般公開がありました。平成9年の金賞以来、毎年入賞する事が出来、大変うれしく思いました。

前にも一度品評会について少し書かせて頂いた事がありましたが、出品酒を一生懸命醸す事の重要な点は、半年間の酒造りの間に、杜氏の持つ尺度の最高の出品酒醸造のために、本人は勿論、蔵人全員が一丸となり、すべてにおいて今現在の最高を必死に造ろうとする、その目的と緊張感がベテランの蔵人の、さらなる技術向上と気合充実につながるからです。現在の入選酒のタイプが、味わう時に本当に良い物なのか、又入選する為のブレンド出品等、色々物議をかもしておりますが、その様な中でも、天寿らしく頑なに醸し続け、一つの達成感を得る事が出来る貴重な機会であるからこそ、杜氏を始めとする蔵人達と共に、嬉しく思うのです。

蔵のページ

無農薬田について

5月の半ばを過ぎる頃、「天寿」のお膝元、矢島の地では田植えが盛んに行われ、健やかに伸びた美山錦の苗達も無事デビューを果たしました。

これに先立ち、田起、代掻きといった農作業が行われ、乾いた田んぼが満々と水を張った水田となります。今年は春先の天候が良すぎるぐらいで、代掻きには例年よりも多くの水を必要とした程です。

又、この頃、いつもの年のように空と海からのお客さんがやって来ました。トンビ、ムクドリ、ウミネコなどの鳥たちの事ですが、今年は何故かカラスの集団も出没しました。鳥たちの目当ては、土の中から掘り出された虫達(ミミズ、カエル、オケラ等)です。特に代掻き直後にはオケラが追い出されて水面に浮く為、鳥たちの格好の餌食となります。鳥たちは、この餌を求めてトラクターに乗っている私の周りを常に旋回したり、間近で待っています。鋭い眼力を放つウミネコなどは、あまり近くを飛ばれると少々恐怖感を覚えます。

5月20日、無農薬田を管理していただいている、天寿酒米研究会会員、佐藤近美氏も美山錦の田植えを行いました。今後、水管理のし易さが雑草の繁茂を左右するため、前作業の代掻きは念入りに行われていました。一見どの田んぼも平らに見えますが、田んぼには少なからず高低差が有ります。田んぼに水を張ることにより、高いところは水面から露出し雑草が生えやすくなります。逆に低い所は水が深く、苗が水没してしまい、窒息又は藻に囲まれてしまいます。代掻き作業は、単に田んぼの土を捏なすばかりでなく、田んぼ全体を水平に修正出来る、一年の中で唯一の機会なのです。

通常栽培の場合、代掻き後と田植え後に除草剤を散布して雑草の繁茂を防ぎます。しかし、この無農薬田には除草剤や殺虫剤等の農薬は一切使用しませんから、田植え後2週間を経過した今、雑草が顔を覗かせてきました。雑草は生え始めるともの凄いスピードで成長し、すぐに稲を追い越しますので除草のタイミングとしては今頃が適期です。除草方法は人間の手でむしり取る方法で行われて来ましたが、それは筆舌に尽くしがたい重労働です。その除草作業の手助けをしてくれるのがアイガモ達です。田んぼの中を掻き回る事で、雑草の繁茂を防いでくれます。

これから田んぼにフェンスを張りアイガモ達を放す訳ですが、このフェンスは逃亡を防ぐだけではなく、外敵から守る為でもあるのです。アイガモを田んぼに放つとすぐに、上空にはタカが旋回し始めます。アイガモ達が溺れない事を祈りつつ、美山錦が成長し、アイガモ達が身を隠せるようになるまで心労は絶えることがありません。

製造課 佐藤俊二

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